木の幹に守られた樹上の猿みたいな生活が必要だ/フミタケ
 

(くれぐれもまっすぐが大事)
深夜零時を過ぎるのを待ち
マンホールをあけて
降りていかなくちゃいけない
とても壊れやすいものを
誰かに駄目にされないように
まるで窃盗犯か、密猟者のように
気配を消して地下をすすまなきゃいけない
「寂しい」とか「虚しい」とか言わず
絶叫をぬりたくった舌を
その耳に直接突っ込んで舐めあげる
海へでる頃に
小さな太陽の温度が
まぎれもなく感じられるように
その温度がくれる力があれば
他に何が必要なんだろう
たくさんのことを見ていくのは
たったひとつに出会うために

戻る   Point(5)