上澄み/山中 烏流
 
も平坦で
それはそれは
地面によく似た姿だったという

過ぎるものがないまま
轢き潰されたわたしのことを
そのひとは
そう言って、笑ってから

踏みにじった



***



どこか楽しげな場所で
離されてしまった風船の屑が
上澄みをくすぐる

誰かに渡される筈だったそれは
水面に
小さく波をたてたあと
同じように
深く、沈んでいった


わたしは
それに知らないふりをして
上澄みを汲み取って

僅かに残っていた、その屑ごと
誰かの先へ
また、
放り投げる









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