嘘をいったか/カナシミルク
 
オレは嘘をいったか
泣きも笑いもしない人の前で
初めての時から最後の時まで
オレは何度の嘘をいったか

伝えたか
わたしは誤報を伝えたか
ホントも嘘もわからないまま
心のままの小柄な人の目の前で
きちんと誤報を伝えたか

隠したか
ちゃんと姿を隠したか
顔にはりつく欺瞞と怒りを
生きたくらいの鬱憤を闇に紛らせ去らねばならん

昨夜の月 冬の光の澄むなかで
見えるものすべてが輝くところ
わたしは何も見えなかった

大きなすれ違いが起こるところ
絶望、静かに寄ってくる
大きな音をたてないで!
どうでもいいから静かにしてよ!
別れの音が聞こえないから





戻る   Point(2)