オンナノコちゃん、さようなら/手乗川文鳥
 
い取ったその高い声を手のひらで弄んで襟元のフェイクファーに押し当てると
ため息のような声が潰れて死ぬから大好きなんです
オンナノコちゃんはそれに夢中だからダンスに目もくれない
知らない人の手を取るのはオンナノコちゃんの手に失礼だしそれに本当はね本当は本当なの
天井で踊り狂うのが本当でねなにも本当などないけれど本当はずっとオンナノコちゃんはただ一人とではなく誰も彼もと一緒に同時に踊れるときっと良いのにと思ってるから
手をいっぱい生やした神様になりたいの



木曜日
今日は黒いワンピースの気分。
オンナノコちゃんは生きるも死ぬも関係なく哀しいと思うし祈っていたい。



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