いくつものあの頃に/落とし子
 
君は気付いていたかな
いつからか
君の髪が
僕の肩に
うまく掛らなくなったんだ

君からは今何が見える?
相変わらずその目は
少し不機嫌な色を帯びて
誰かを困らせたりしてるんだろうか

あの頃
僕ら若かりし
バカだったけど
間違ってなかった
二人語る思想の
一言一句に夢中で
動いてる君と
動いてる僕がいれば
わかり合う必要なんて
無かったんだ
何という傲慢


君からは今何が見える?
僕はといえば
ぼんやり外を歩いていると
強い風が吹いて来たので目を閉じて
あけた瞬間に

君の目に映るかも知れない
まっすぐな細い道を思った
そこを通る人が
だんだん増えて
遠くの明かりが
近づいて来ますよう
切に願うよ
そうして
もう何も考えないで
しばらくこのまま
この道を歩いていたいんだ
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