あくたいと また、 その こころ の/六一介
 
くそ じじい と

おまえは また そのすこし 

ぽってりとした くちびるを ゆがめて

はきすてるように いうのだろう


なんだよ と


ふたりのあいだにある へだたりに せをむけて

じめんのつちを つまさきで

がりがりと けずって


おまえの くちからでることば は

もう どうしようもないような あくたいばかりだ が

おまえの その 

ひねこびたくちびるからこぼれる 

くそ じじい

というひびき が

たといようの ない まるみを もって

おさなごの ゆびから つむがれる つたない ひらがなのような

いとおしさで

はじめて からをぬいだ ひなどりの かんきににて

ごがつのそらを けんのんに そのくせ

いっせんの くものように

はしって ゆくのだ


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