あくたいと また、 その こころ の/六一介
くそ じじい と
おまえは また そのすこし
ぽってりとした くちびるを ゆがめて
はきすてるように いうのだろう
なんだよ と
ふたりのあいだにある へだたりに せをむけて
じめんのつちを つまさきで
がりがりと けずって
おまえの くちからでることば は
もう どうしようもないような あくたいばかりだ が
おまえの その
ひねこびたくちびるからこぼれる
くそ じじい
というひびき が
たといようの ない まるみを もって
おさなごの ゆびから つむがれる つたない ひらがなのような
いとおしさで
はじめて からをぬいだ ひなどりの かんきににて
ごがつのそらを けんのんに そのくせ
いっせんの くものように
はしって ゆくのだ
戻る 編 削 Point(12)