電解質イエロー、あるいは触媒世界/真島正人
T
AST
ST
T
僕はもごもごと頼りなく口を動かすと
よじ登るべき『思想』を逸脱する
※
電解質イエロー
あるいは触媒の潤い
台風はもう吹き荒れた
ここは君の荒野だ
僕は草花に過ぎない
きのう風を吸い込んだとき
君はみずみずしさにむせた
手配された砂が
君の砂にもぐりこむとき
君は海を知るだろう
なぜならそれは
呼吸が出来ない場所だから
君を用いることでしか
歌うことの出来ない喉を
非難するのはよせ
僕は目を閉じることが出来る
僕にあと少し勇気があれば
僕は
純度だけに支配された
君のディスクール
解体するだろう
※
他でもない
懐かしい
棄却だけが知る
夏の音
返してよ
返さないよと
遠くから
足音が響く
はてしのない
細かいもののために
迷い込む
ゴム底の靴は
柔らかさのあまり
人にそれを自覚させない
戻る 編 削 Point(3)