電解質イエロー、あるいは触媒世界/真島正人
 

AST
ST

僕はもごもごと頼りなく口を動かすと
よじ登るべき『思想』を逸脱する



電解質イエロー
あるいは触媒の潤い
台風はもう吹き荒れた
ここは君の荒野だ
僕は草花に過ぎない
きのう風を吸い込んだとき
君はみずみずしさにむせた
手配された砂が
君の砂にもぐりこむとき
君は海を知るだろう
なぜならそれは
呼吸が出来ない場所だから
君を用いることでしか
歌うことの出来ない喉を
非難するのはよせ
僕は目を閉じることが出来る
僕にあと少し勇気があれば
僕は
純度だけに支配された
君のディスクール
解体するだろう



他でもない
懐かしい
棄却だけが知る
夏の音
返してよ
返さないよと
遠くから
足音が響く
はてしのない
細かいもののために
迷い込む
ゴム底の靴は
柔らかさのあまり
人にそれを自覚させない


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