こんにゃく(ご)/たもつ
 
 
 
こんにゃくの降る街を
君と歩く
手をつなぐのは
二人に手があるから
理由はそれだけでよかった

子どもたちが積もったこんにゃくで
だるまを作ろうとしている
それは無理なことだ、と
大人は教えようとするけれど
彼らはまだ
不可能という意味を知らない

やがてその意味を知り
やがてそのことに傷つき
やがて何も感じなくなる
その一連の過程を
悲しい、と言うには
僕らは年を取りすぎてしまった

幸せ、不幸せという二つの言葉だけで
すべてが言い表せる
と思っていたあの日も
こんにゃくが降る街を
君と手をつないで歩いた
今日よりもたくさん降っていた
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