ランプ/千波 一也
 


ランプの火は
その小さなところが
ちょうど
いい

消せない名前があることや
消えない国があることを
背中でそっと
照らして
くれる

それがもし
厳しさだとか
やさしさだとか
呼ばれてしまうものだったなら
すぐにも捨てられる
道具であった
だろう
と、
煤にまみれた
ガラスの言葉を
小石を転がしながら
描いて
みる

ランプの火は
夜を渡るためのものだから
大きくないのが
ちょうど
いい

とてつもなく深い夜を
望むのならば
別だけど








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