港町/番田 
 
何もない、
何かの消えた姿、
俺がいるのだと知っているだけの、
俺の姿があった。
船もいない港に星の姿を見ていた。
暗闇の中でいくつかの人の姿を形作って、
そうして俺は街へ出た。山奥や酒場を行き、
緑色の酒を飲み、タコのようだろうと、エイのヒレも食べた。
そこから港の灯りは見えて、星が
見えるのを、幻か何かに考えていた。

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