色彩と音の感覚/まさたか
 

私にとって
世界は灰色に染まり
日常は音もなく過ぎてゆく

貴方の場所は
いつの間にか
他の人が座っていて
私はそれを
なんということもなく
見ている
まるでみんな貴方を忘れてしまったみたいで
不思議な気持ち

私は毎日貴方の病室で
貴方を見ている
貴方は此処にいて
ちゃんと息をして
生きている

大丈夫
貴方の帰る場所は
私が守ってあげる
私が貴方を覚えていて
貴方の帰りを待つ限り
あの場所は
貴方のものだから
大丈夫だよ
だから早く帰っておいで

貴方のまぶたがわずかに動く
今だけは
私の世界はとても鮮やかで
貴方の鼓動と
貴方の寝息が
歓喜の歌のように聞こえてくる
貴方の耳元に口を寄せて
愛しているよと
伝えると
貴方はゆっくりと瞳を開き
微かな声で囁くの



愛しているよと
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