愛人の彼氏/吉岡ペペロ
 
えやん、ああ、なんか腹減ったなあ、

網からスイカひとつを取り出して石で割った

どんぐらい冷えたんやろ、ま、落としたとか言うたらええやん、

愛人にスイカのカケラを渡してふたりで食べた
思いのほかよく冷えたスイカで
愛人のTシャツには薄い血のような染みができていた

別荘にもどると
水餃子の香りに食欲をそそられた
目や耳が愛人を探すようになっていた
愛人の彼氏が不機嫌なようにみえた
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