冬の声/月乃助
通りの
滑りやすい足元を見ながら歩き始めるのです
四桁の番地の番号を確かめながら
どこというあてはないのに、四角い写真のそとには出ないように
そこにいれば、不思議と安らかにいられる
子どもが好きな街、ただそれだけで
映っているその建物の後ろ側には、裏面しかないのだから
見られるところを、ぐるぐると
そのなかで、立ち尽くしたり
ありもしない夜空を見上げたり
窓からもれる灯りを確かめたり それでも、
教会にも、どの店にも入ることはできず
いつかそんなことをしていたら
声がしてきそうで、
Mom
それを聞こうとしながら
子どものくれた 冬景色の
街にいつまでもあたしは、
たっていました
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