冬の声/月乃助
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光沢をみせる
明かりが窓からもれ出ています
街辻に面した旧い教会は、十字をかかげ
黒い街灯は、とがったその四角い頭をおもたそうに
旧さの中に時を埋めてしまう
子どもがくれた葉書
知らぬ間にいつか
ポケットに残ってしまって
冬の街の夜景は、黄金色の雪のなかで
静かさばかりが、こな雪の音を立てている
重そうな屋根のひさしからは、
冬の寒さがさらさらと落ちて、
四角く切り取られたそこに
わが子が立っていた
あたしはそれを手にして
糸口を探してみる だから
その街にたたずみコートの襟をあわせたり
窓辺のつららのとがった先を眺めたり
明かりが影をつくる通り
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