おしまい/千波 一也
 


鉄くずが
泣きやんだ

そんな
気がした夕暮れだから
昔ばなしはおしまい
今日はおしまい



踏まれた枯れ葉が
くすっと笑って飛んでった

きっと誰しも
そうやって昨日を
語れるはずだから、ね
案ずるのはおしまい

ふやけるだけでは
重すぎるもの



古い公園は
独りぼっちを嘆かない

だから
むごいいい訳はおしまい
今あるすべてを連れてゆこう
きっと、

ずっと



すきま風は
呼び続けてる
いいえ、呼ばれ続けている

誰に、と
考えることが
もはや暖かいのだから
不幸な談義はもうおしまい



くたびれた服と
くたびれたからだ

お互いさまで
世のなか上手にできている
だから、慰めはおしまい
今日はおしまい



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