「思い至らなさ」と想像力/はらだよしひろ
最近、「思い至らなさ」について考えている。
良く、分かり合う、とか、理解しあう、なんて言うけど、育った環境が違うもの同士がいったい何処から何処まで分かり合ったり、理解しあえるというのだろう。はなはだ疑問。
父の名言、「俺はおまえの事をわかろうとは思わない。」一見酷い言葉に思えるけど、これ、実に大切な事だと思う。
父と僕の間には決定的な断層がある。父には朝鮮人の血が流れていなくて、僕には朝鮮人の血が流れている。
と同時に僕と母との間にも決定的な断層がある。母には日本人の血が流れていない。
つまり、僕たち家族は断層の間に身を浸しながら共に生活をしている。断層があるが故に身
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