寝屋川のおんな/
吉岡ペペロ
灰色がいとしかった
軒先の粗雑な植物がいとしかった
産業道路はいつも混んでいた
アスファルトの平地にはチャリが湧いている
ラブホテルやコンビニがいとしかった
おまえの家で合宿みたいなことをした
テーブルが貧しいひかり方で湿気ている
月が電柱と路地を照らしている
窓からは星を探せなかった
あの町にゆくことはもうないだろう
いとしかった
おまえもオレも寝屋川も
灰色がいとしかった
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