土から生まれる/Cinna
噛みしめる土の
味は自分の
「これはあなたのために裂かれたわたしの」
追われる獣の足の打ちすえる
大地のたわみが五体をひしぎ
蓋がれた目に緑に赤に灰色に
やまず眼窩を巡る体液の囁き
したたる雨の気配は
自分の
「これはあなたのために流されたわたしの」
砂の味
しみこむ水の味
木の根の傷口からの匂い
時は今にも 明日にも
踏みしめ かきわけ
かじりつき
わずかな光を透かしてのぞむ
冷たく重く やがてやわらかな
それは今
そしていずれ
土から生まれる
自分の血肉だ
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