高野山物語/済谷川蛍
 
 学校から帰ると部屋がチャーハンの匂いで充満していた。近所の夕飯がチャーハンなのだろう。寒いので窓を閉めた。ヒーターなど暖房器具はつけず、毛布にくるまる。ベッドの枕周りはタバコの灰、錠剤、携帯、割り箸の袋、4種の煙草の銘柄、ボイスレコーダーなどが散乱している。床はさらに汚く、ゴミ溜めになっている。一日数回ベッドから水回りへ移動するときに不便だが、片づけてもすぐに汚れるので今のところこれでいい。別にこれといった理由もなく私の部屋は汚い。ゴキブリはまだ見たことがないが、アパートの1室に大きなゴキブリが住みついてると思えばしっくりくる。以前、大家が火災警報器を天井に取り付けにきたことがある。突然やってき
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