水をふくむ夜/
吉岡ペペロ
肌さむいが水をふくんだ夜だった
水のぶんさむさは何処かぬるかった
ことしさいごの年始の会合のあと
熱気にすこし汗ばんだからだに
夜は心地よくてなにか昔を思い出させた
どんな昔?
どんな顔立ちの昔であったか
思い出すこともさやかにやめていた
昔は昔を思い出すことなぞなかったのだ
水をふくむ夜、
それはまるでモーツァルトのようだ
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