夜光/伊織
 
誰のために

揺れる夜に

囁く




呼応している

思いたいのは

夜があまりにも深く

草木にすら見届けられることのない

場所に

いる




生きている星に人々は名前をつけた

あの無機物に

明滅する無機物に

知った風な顔で声をかける権利など ない




目の前を飛び交うのは蛍

対岸にて規則的に光るのは工場群

鼓動のパターン制御すらできないわたしは

せめて 潜めた呼吸でタイミングを図り

愛を送ろうと試みた
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