心音を食む鹿/within
 
て喘いでいる。いつまで待っても無駄なことを伝えるために永遠を引き合いにだし、鈍感な僕を背後から刺し殺そうとする。ノックする。君が僕の心臓をノックする。でも挨拶もせずに去っていく。山に登り、頂から叫びたい。衝動。半裸で裸足で駆け抜け、乾いた空気が軽くなった身体を持ち上げる。浮かぶ。溺愛された猫は行き場のない空白を探して暴走する。まるで何かの症候群のように暴れまわる。幼稚な欲望だと人は笑う。それでも眠る前に君の心臓の木霊が聴きたい。何の欲望もなく。
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