茶をのみて/生田 稔
 
茶をのみて

 戸外に目をむけ
 茶をのむ
 ずーとそうしていた
 何もせぬ老人
 であった私

 冬枯れの庭の
 しおれた花を見て
 豊かな色であった
 このささやかな花園の
 そばで

 太陽はにぶく
 風もなく
 真昼どき
 さっきから茶を
のんでいた

酒を飲まず
茶ばかりのみ
それで満足していた
 四十代、五十代
 たまさかの茶ではないか


戻る   Point(0)