祝福/かいぶつ
瞳の内にのみ、湛えている
そこへ飛び込んだのは
先の一匹の言葉
言葉が言葉を呼び
群れとなってライズする言葉
大きな瞳の中で水飛沫を跳ね上げ
最後に限りなく幻聴に近い
言葉の波紋を残した少女の瞳は
突き抜ける青空を映す
+
どこか遠くの町で南風が吹いている
雪や氷は溶け、植物が芽を出し
草木は萌え恵み、地中の虫たちが
動き出す
少女の口元から
雪解け水の純粋さで
言葉が、零れ落ちる
「はい。」
+
どこからか
銃声のような笑い声が聞こえる
祝福の音楽と共に
そして運び込まれる春風は
心地よく鼻を
くすぐらせている
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