散恋休/クローバー
佐鳴湖公園を散歩する
背の高い街路樹がカーブを描く
一点透視で並んでいく
それは、メタセコイヤ
杉科の樹で化石にもなるほど昔から、
変わらぬ形をしているのだという
背は、20mほどになろう
何十本と並んでいる。
葉はほとんど落ち
寒色の空には、
裸になった枝で、細くひびが入っていた。
落ち葉は、道の端、足下に。
土とその葉の間で
身を潜め、
暖をとり
体を寄せあいながら
次の春を、虫たちは待っているのだろう。
まるで、「僕ら」だ。
僕らは、虫のようにしか、好意を表せないのだろう。
メタセコイヤが、同じ葉を散らしてきた昔から
その葉の下で、じっと息を潜めて休んできたのだろう。
何世代も前の僕らが、繰り返し、恋をして。
気付けば化石になっていく僕を
街路樹が見下ろしている。
戻る 編 削 Point(2)