労働/攝津正
 
綴っていた。攝津は両親から罵倒され経済観念が無いと言われていたがその通りだった。攝津は無意味で無価値な営為しか出来ぬのであった。攝津は金を儲ける手段を知らなかった。事業に不向きだった。それで賃労働も不可となれば死ぬより他あるまい。家族ももう死んで良いと許可を与えている。ならば死すべし! 豚、死すべし! 攝津正、メタボ自立豚、死すべし! 死ね! 死ね! 死ね! 攝津は自分に向けて「死ね」を連呼したが、それは単に虚しく響くのみで、実際の死へは一歩も進まぬのであった。攝津は只の駄目人間だった。

 さて、長編私小説『労働』は主人公攝津の自殺或いは病死によって終るのが妥当と思われる。だが、そうはならな
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