労働/攝津正
 
は認知の歪みの袋小路で思考すらもどうにもならないのが読んだ結論。少しは言葉を知ってる世渡り下手の奇人に小説家をすすめたりするのはよくあるけれど、著作家として生き延びる道はないね。長い間、暖かい目で彼のジャンクに成りかねない風変わりな発言を見守ってきたが。」との事だった。思考すらもどうにもならないとは言い得て妙だと攝津は思った。

 攝津は要するに死に掛けていた。病死。自殺よりましだろう。それ程衰えていた。苦しみは日々に増し、堪え難い迄になって来た。生きるのは難しい、と攝津は呟いた。生存困難系というのが攝津の口癖だった。確かに生存は困難だった。攝津のような者が生きるのは困難だった。生きていけない
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