労働/攝津正
 

 どうするんだ。
 答は無かった。
 だがもう限界なのは確かだった。攝津はもう駄目だった。攝津は終っていた。
 金銭感覚や経済観念の無い攝津は浪費ばかりしていてこの資本主義社会では生きるのが不可能だった。攝津は自殺すべき人間だった。
 攝津が自殺しないのは罪のように思えた。
 攝津は自分が死すべき人間だと考えた。
 何故死なないのか。死ぬ勇気がないからだ。嗚呼、どうしようもない…。
 精神科に行っても、取り合って貰えぬであろう。こんな事を相談出来る友も無く、組織も無い。もやいであれフリーター労組であれ、攝津の悩みを解決出来ぬであろう。攝津は独りで自分苦を抱えるしか無いであろう。
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