夜が来る(名前を付けられない喪失なんてまるで人生に付けられた名前みたいだ)/ホロウ・シカエルボク
自滅の感覚は本当は至極静かにやってくる
個性ってもんは柔軟だが時には堅牢な檻のようで
首吊り縄がゆっくりと頸動脈を絞めてくるような息苦しさは
俺である限り永遠不変の出来事なのさ
25半の足の裏じゃあ大したものは踏めやしないが
そういったことを認めるのには相当な時間がかかる
情熱が勝手に燃えさかる間にはその種のことに躍起になって
情熱では済まない時間に驚き戸惑う羽目になる
そのことについては俺だって特に例外というわけではなかった
ただ俺はそこに留まり続けただけさ
新しいフィールドは彼方から勝手にやってきた
今にして思えば俺はまるでそのことを
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