海草の想い/朧月
私はある日 海草でした
十本の指は ゆらゆらと動き
それぞれに意志をもちながらうごめいている
波を受けながらカラダはおして ひいて
足はだらしなくとられ ぐねぐねと わなわなとふるえる
培ってきたといわれる歴史と
あるといわれている未来と
せかされている今に あえぎながら
おぼれることもない海草です
なにから なんのために生まれ 生きるのか
いかされているのかを太陽に尋ね
風に学び 海に委ね 偶然を待ちわびる
岸になにかがあるような気がして
水面からでることを希望とし
安らぎは海にしかなく
いつか生まれ
いつかゆき
その後は どうなっているのか
[次のページ]
戻る 編 削 Point(3)