海草の想い/朧月
 
私はある日 海草でした
十本の指は ゆらゆらと動き
それぞれに意志をもちながらうごめいている

波を受けながらカラダはおして ひいて
足はだらしなくとられ ぐねぐねと わなわなとふるえる

培ってきたといわれる歴史と
あるといわれている未来と
せかされている今に あえぎながら
おぼれることもない海草です

なにから なんのために生まれ 生きるのか
いかされているのかを太陽に尋ね
風に学び 海に委ね 偶然を待ちわびる

岸になにかがあるような気がして
水面からでることを希望とし
安らぎは海にしかなく

いつか生まれ
いつかゆき
その後は どうなっているのか
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