京都懐かし/生田 稔
 
太陽の光輝く朝九時の叡山駅に心静かに

今朝の風あるかなきかにそよ吹きて山の彼方に希望をこめて

対坐してじっと見つむる妻の顔黒髪の房豊かなりけり

木々の間に雲みだれあい青空に風微々として吹きいたりけり

久方の京の都は日本晴れ幸先も良しバスのツアーは

嵐山のんびりとして川流れ妻と来てみた初春の日に

鴨泳ぎ陽はさしこみて木の影の鮮やかに見ゆ道を行きけり

アテルイとモレを弔う清水の音羽の滝は悲しかりけり

人生は意味もなく価値なき道を日ごとに辿るものなりせば

紅に白とりまじえたる空のもとバスは走るよ今日の日暮るる

一日を歌を作りて終えし日にコーヒーとパン妻と食せり




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