ペンション アントルメ/鵜飼千代子
 
い食物でもなく
          気にかけるものも あまりない

          住人は 拾い集めて
          ジャムをつくる

          奥さんはほがらかに 話をしながら


          スクランブルエッグの この味は
          まさか この場所で味わえるとは思わなかった

          オーナーは 元ホテルのシェフだという


          窓から 海が光る
          発光した海を受け 雲が行く          


          レーズンのマフィンをほおばりながら
          わたしは海に 降りていく
  


          1997.08.19
          初出 FPOEM(だと思う。もしかしたらVERSE)
 

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