詩が沈黙する時/岡部淳太郎
 
書いたように、詩と詩ではないものの関係がそのまま私と周囲の社会や世界の関係へとスライドしているからこそ私の中で求められてきたのであり、詩を書くことはすなわち、私という個人が世界と渡り合うための不器用な方法であったのだ。詩が沈黙する時、それは私にとってつらい時であるだろうが、また時が満ちれば私の中で詩が溢れ出すのだ。だから、私は詩が沈黙するのを、世界が詩ではないもので満たされるのを恐れない。人や社会が詩を沈黙に追いこんでも、詩はそこにある。同じように私もまたここにある。そのようにして、私は生きるのだ。



(二〇〇九年十二月)
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