生きること/朧月
 
死ぬことを考えてきた
死ぬことを考えてきた

いつのまにか
生きることがわかってきた
自分にとって
生きることがわかってきた

眠る前に
朝がこないことを祈り
朝になって
今日がはじまったことに失望する

そんな毎日を見つめるうちに
それが
自分の生きることだと知った

だれかの犠牲のうえに
自分の生があるような気がした

だれかのせいで自分が
生を営んでいるような気がした

そんなものたちを
眺めつつ 突き放しつつ 寄りかかりつつ
ただ
息を吸って はいて また吸って

この世の空気 みんなこの胸に収めてやりたい
そうもくろんだ 結果の敗北が
生んだ そう
生まれた私は
生きることが わかった

生まれたから
生きるのだと わかったのだ


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