錆びた時間の牙/ホロウ・シカエルボク
 
た、あの目―彼らはきっと俺の前であんな目をして死んで見せるために乗りこんできたのだ
俺は道を離れた、しばらく歩くと小さな川のほとりに出た、そのときに夜が明け始めた…目覚めはいつやってくるのだろう、と俺は思った、なんとなくその世界の中で朝を迎えたくはなかった、その世界の中で朝を迎えてしまったら、余計なものをたくさん抱えて現実世界の中に戻らなければならないような、そんな気がしたのだ―それはどんな理由であれ二人の人間の死がその世界にあったせいかもしれない
俺は雄叫びを上げてひとつの店の窓ガラスを叩き割った、肌の上でジーっという音がして深い切り傷が生まれた、真紅の血液がだらだらと流れて…そうして俺は目覚めた、錆びた時間が眼前で俺を喰らおうとしている瞬間だった




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