錆びた時間の牙/ホロウ・シカエルボク
ていた空気よりはましなものに思えた
振り返ると中年の夫婦は死んでいた、死んでいるのかどうかもはっきりとしないような死にかただった、窓を開けようとする俺のことを黙って見つめたままの顔でただ倒れていた、折り重なるように倒れて―死んでいた
部屋の奥から足音が聞こえた、だけどそれはほんの少し移動しただけだった、どうやら俺はもうそいつのお目当てではないらしかった、俺はその家を離れて路地を逆に戻った、もう戻れないかもしれないと考えていた道の上にはもう誰も居なかった
(俺はどうしてあの窓を開けようと考えたのだろう)と俺は思った、(そもそもどうしてあの中年の男は自分たちがやつに狙われていることを俺に話
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