立ちん坊と雲/冲克。
車の誘導業務をする立ちん坊の夏は、辛い。
制服は、脱ぐ事が出来ない。
持ち場から離れる事も出来ない。
太陽から逃げる手はない。
雲よ、大空の雲
8月の太陽の光をお前の衣で包んでくれないか
うすくてもいい、あのギラギラだけでも包んでくれたら
私は、私が飼っているひばりを君に紹介しょう
声もいいぞ、姿だって美しいぞ
どうだ、太陽と話をして何とかしてくれないか、太陽が嫌いなわけではない。
今年の8月の太陽は老人の私には、あまりにも強すぎる。
そりゃ、20年前なら日焼けが、かっこいいと思ったかも知れない。
おもいきり汗を流す事に快感があったかもしれない。
でも、今の私には太陽のギラギラだけは、もう耐えられなくなってしまった。
8月の太陽に雲のすだれを掛けてくれ。
頼む、午後の3時間だけでいい、
ひばりも紹介する、そして、きっと、恩にきるよ。
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