冬と門/
木立 悟
川を流れる
道より高い川が鳴り
午後の空に紋を作り
雨と約束をとりかわす
二度と刃には戻らないと
羽に応え
無羽に応え
片羽に応え
空をついばみ
閉じ 見つめ
閉じ 見つめる
目に生えた牙の隙間から
降りつづく雪を見つめている
何もかも尽きるところに門があり
その先の無いまま門でありつづく
水は進み 水は消える
門のむこうに 水は消える
静かな波が
静かな雪を見つめている
小さな指の冠が
小さな冬を持ち去ってゆく
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