暹羅の青い猫/
楽恵
ける貴女の冷えた足元に寄り添い
この長いしっぽを絡めて慰めてさしあげることだけ
(貴女)
生き物が全て生まれ変わることを知っていますか
風の声や波の音に懐かしさを憶えるのは
貴女がかつて鳥や魚であったから
(人間よ)
山の向こうに沈むあの陽の美しさを疑ってはならない
あの陽は私たちが前世で共に寄り添い見た陽と
同じ夕陽なのだ
お前の水晶のように青い瞳の中で
今日もメナム川に陽は沈む
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