クリィム/ソノタ
起きしなにワインを飲む。目がさめたから起きた。9時間前に眠くなったからベッドにはいった。ちょっとセックスしたいななんて思いながらチョコレートを一粒食べる。「ひとり」になりすぎて誰とも目が合わないだろう。あなたの傷の位置を知るために新しい傷を負わせる。明滅する首飾りを巻いたくまの縫い包みがソファに置かれている。ひとくち目しかおいしくない煙草の味はあなたを感じるにじゅうぶん。ただ冷たいベランダで。信じるという言葉のなんて傲慢なこと。白くて真平らな空と四角い団地の屋根。嘴を合わせたカラスが染みのように散らばっている。なんの象徴でもない。自ら選ぶということにどれだけの意味があるっていうんだろう。わたしは人間で、怠惰で、あなたを愛していて、この手で誰かの体を触る。そのどれもが「わたし」に括られているけれど、本当は、べつべつのものだ。それぞれに、他からの従属からはなれて存在しているもの。
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