観覧車のこどもたち/済谷川蛍
 
 彼らは錆びに覆われた観覧車を遊び場にしていた。一台のゴンドラに色とりどりのランドセルが並べられている。ガラスのない窓から町を眺める。自分たちの町を見ると何もない町であることがわかる。自分たちがいまいるところはそんな退屈な世界とは遠く離れている。まるで船。パスポートを持った仲間しか乗れない船なのだ。パスポート発行の権限は彼らが持っている。彼らはその条件を少し厳しく設定している。もし世界が滅んだら、この観覧車を基地にすると決めていたから。
 携帯電話が鳴る。今から行くよ、という報告だ。ガスガンを撃ちながら男の子が到着した。ドアを開け、みなが席を詰める。互いの肌の温もりを感じながら、幼稚な戯れ、ロマ
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