雨女/
弥鈴
天気予報は曇りのち雨
冬晴れ続きで
乾きすぎた雨女は
その唇に
無色透明のグロスをさす
鞄の隅に折畳みの傘
忍ばせてはみたけれど
きっと今日もそれを
使うことはなくて
濡れてしまいながら
うっすらと雨女は
潤う心震わせて
微笑みすら浮かべ
冷たい雨に打たれ
濡れてしまいながら
その雨に
無色透明なナイフを翳す
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