おんな椿/
あ。
な花びらを乗せてみても
甘くて良い香りを漂わせてみても
蜜は吸われることなく熟れてゆくばかり
気まぐれなミツバチがふらりと蜜を吸いに来て
そのまま居ついてしまったのは
色のさかりを過ぎて随分たった頃
立ち止まるわたしの目の前で椿は揺れる
冬風にもひるむことなく益々映える紅色は
顎をあげた美しいひとりのおんなだった
おとこに肩をたたかれて振り返ったわたしもまた
恐らくおんなのかおをしていた
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