即興夕焼けフラグメント/ソノタ
「ほらまた闇が、」
背に生ったライムを捥ぎとり陽を弾く
背骨をつたって腿を濡らし爪先から滴った半透明の真実
どこにも堕ちない
どこにも堕ちない
黙すことで裏切っている珊瑚色の歯茎
その広さに唖然としている
堂々とした闇に首ねっこを攫まれ震えている今も
それとおなじ朝の陽に喉を晒している
あたたかいなんて言いながら
懺悔という暇つぶしに
左の耳たぶから右の耳たぶへ糸を通しレースを編む
音符を編みこみ左胸に縫いとめられる技術をもって
まだぼんやりとした向こう岸の灯りを目指そうか
明日のくることなんか知らない顔で
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