羽の季/木立 悟
雨を聴く背の光から
こぼれ落ちる羽のかたまり
ほどけてはほどけては飛びたつ音
窓をどこかへ連れてゆく
ひとつがほぐれ
ふたつに分かれ
五つの姿に消えてゆく
羽化の行方はすばやく高く
見えないほどに昇りゆく
小さな音が去ったあとに
うたがひとつ残されていて
器から器へと注がれていき
青と金の枯草の道
幾通りかの空へのつながり
羽のための近道を映し出す
けして元の場所にではなく
どこかがわずかに異なる場所に
窓の姿の鳥は降り立ち
けして夜を追いやることなく
朝を迎えるうたを歌う
次の季節のうたを歌う
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