遺影の聖母/服部 剛
 
思いの外に、駆け足で 
逝ってしまった友の遺影が 
ひとりの聖母に視えた時 

地上に取り残された者のように 
棺の前に立ち尽くす、喪服の僕は 
掌をそっと、胸にあてる 

絶え間無く鼓動する 
この、命というものを 
これから何に、使おうか・・・? 

遺影の額から 
微笑む聖母となった友に 
僕は只跪き、両手を合わせる。 




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