縛るひと/恋月 ぴの
 
自分自身を型にはめようとしているのかな
知らず知らずのうちに
「ねばらない」
そんな思いに捉われてしまう

誰かにそそのかされている訳でも
強いられている訳でもないんだけどね

つまるところはこころの持ちようなんだからと
そんな思いを試しに捨て去ってみた
そしたら、すうっと軽く身体弾みだして
今までの悩みってなんだったろうかと可笑しくなった

ばっかみたいだったよね

いつもの陽だまりにはいつもの三毛猫がくつろいでいて
出会う度にガン飛ばしてたんだけど
優しく微笑んで「こんにちは」なんて声かけてみる

清清しい一日だなと機嫌よく歩いていたら
ちょこっと小腹空いてきた
何か買い物でもして帰ろうかとお財布のなか覗くと

どうしてなんだか小銭しか残っていなくて

自由とは不自由ってこと

そんな当たり前のことから目を逸らす自分自身に気付く


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