輪廻/
吉原 麻
雷は緑色だった
どうしても、そう思えてならない
そらという粒子の集まりの
その中へちょっと間違って入ってしまった
緑色の
(自転車に乗ると横を歩いていた幼稚園児くらいの大きさの物体を跳ね飛ばした)
(ぎゃあという音がきこえたがそれは雷に比べればいささかインパクトに欠けるものであった)
緑の雷のつぎには
紫色の雨が落ちてきた
コップを掲げると葡萄ジュースがたまるのだ
緑と紫の午後は
とてつもなく汚らしかった
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