思い出/
狸亭
疲れた体を横たえ雨の音を聴く
水音の底から甦るいのちは
限りなくやさしい
長かった旅の終わりに向かって降りて行くとき
人はなぜ柔和な表情になるのだろう
暖かいビロードを愛撫するように執着から解き放たれて
夜の底では虫たちがきりきりと鳴く
眠れない寝床で
静かな体の奥で蠢いている
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